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とりでの屍体公示所<モルグ>

とりでのなかにある屍体置き場

聖家族(2012)

聖家族 8

63 昔の人びと インパラのからだにソケットをとりつけたものは、おなかの側面に表示部があり、どれも正面をむいて不動を保っている。わたしの弟は1匹の顔面に手を近づけた。インパラは反応して、眼球をわずかに旋回させると、首をのばして弟の指をなめた…

聖家族 7

55 人の平安を要求すると死ぬ 団の目的があきらかになり、つづいて指令所での団員の活動を紹介してくれるという。 休憩中、わたしと知人は学校について話をした。授業はしばらくないようだ、でも、講師たちはふだん何をしているんだろう。かれらは経歴もそ…

聖家族 6

37 人の平安を要求すると死ぬ サイコロの籠は半分ほどになって、弟はいったん休んだ。そのあと、つづきにとりかかった。次のような文が出現した。 電話の先の人物は、養豚場は学校をつくるのにいいとおもった、といった。ところが、オーナー、かれはなかな…

聖家族 5

28 れきし 市の南と北をへだてる河川があり、だいぶ前にコンクリートで補強されてあふれないように対策がとられた。北は弟たちの学校がある区画で、学校と、一部の設備や警察のほかに住民はいない。 橋をわたると、背の高さまでいっぱいにひしめく大きな城…

聖家族 4

15 きのこ狩り きのこの分類の仕事をまかされたがわたしも、わたしの知人(顔も名前も忘れた)も、かたくなにことわった。 小人の父親は、腕まくりをして、きのこの分類はこうやるんだ、と示そうとした、そのとき、わたしの知人の手のひらが眼球をふさいで…

聖家族 3

9 わたしは紙のたばを1枚ずつ読んで、作業で役に立つように資料をつくった。休みの日は血が出るまで端末をうごかした。 ひとまず資料は仕上がった、中身は以下のとおり。 男の子は人間をあつかう業者にやとわれることになった。代表は本部にいて、本部は………

聖家族 2

6 黒くぼやけた回廊をくぐりぬけて、写真室にたどりつくまでに、いつもより時間がかかった。 昼ごはんを食べそこねたが、わたしだけでなく、同じように昼ごはんを逃してしまった職員たちが、ゾンビのように強化コンクリートの穴のなかでうごめいている。 「…

聖家族 1

特殊情報と特殊絶叫を取り扱う職員の脳には、通常よりも多くの懸賞金がかけられるという。 わたしは職業柄、脳に危険なデータを持ち込まざるを得なかった。長年の蓄積が祟ったのか、健康上の問題にとどまらず、不快なできごとは家族にも及んだ。この件につい…

聖家族 紹介

1 情報を取り扱う職員である男は若干体調がすぐれなかった。 2 かれは業務のかたわら、家族や夢の中の男児について思うところを整理する。 3 しかし、そのような処理的な頭脳に対し、「聖家族」の魔の手が……。 [2012年 推定58000字]